第1回 奇跡の生還!!大井川鉄道C5644


笹間渡駅を通過中のC5644


大井川鉄道・笹間渡駅を通過するC5644(96・11・09撮影)


 《大井川鉄道 C56形44号機について》

昭和11年、三菱重工業神戸造船所製。
製造当初は北海道札幌機関区(のちの苗穂機関区)に配置されお召し列車を牽引するなどして活躍していましたが、昭和16年に陸軍に徴用され(帳簿上は用途廃止扱い)、 大宮工場で軌間1,000ミリに改造のうえ出征。翌昭和17年にタイのバンコク、マサカン鉄道工場で車体が再組立され主にマレ−本線で運用されることとなりました。
さらに、その後、昭和18年に映画「戦場にかける橋」の舞台(クワイ川鉄橋)としても有名になった泰緬鉄道(たいめんてつどう、タイ〜ビルマ間)へ配備されました。
終戦後もタイ国鉄735号機として南タイ方面で運用されてきましたが、その後休車扱いとなり長らくの間廃車体のまま放置されていました。ところが昭和54年にタイ国貨物船コナソン号によって725号機(C56形31号機・靖国神社に静態保存)とともに横浜港に入港。およそ40年ぶりの日本帰還が実現しました。
その後、44号機は大井川鉄道に入線し、整備・大修繕の後、昭和55年より同鉄道にて動態保存運転が開始され現在に至っています。
しかし、車齢も既に60年を越す御老体のため、単独で牽引できる客車はせいぜい3両だとか。その為、それ以上の客車を牽引する場合は同僚のC11形との重連かまたは客車の最後部に後押しの電気機関車を連結するプッシュプル形態で運行されています。

 《“ポニ−”との出会い》
“ポニ−”。これはC56形の愛称でもあります。かつては国鉄(現JR)・小海線(清里を走る路線です。)でもその活躍が見られ、その小海線を走るC56は特に“高原のポニ−”の名で親しまれてきました。
撮影当日は行楽シ−ズンであることに加え、SL列車が3往復運転される為、多数のSLファンが沿線のあちこちで三脚を立て、思い思いの撮影をする光景が見られました。この日、私が撮影したC56形は5両編成の旧型客車を電気機関車の後押しを受けての牽引でした。
激動の時代を生き抜いた、“ポニ−”の末永い活躍を私は願って止みません。


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